フランク永井を知るために|その多彩な音楽性

 フランク永井の音源は配信でもずいぶん聴けるようになったし、CD-BOXやベスト盤も多数あります。どこから聴けばいいか、最初は迷うのではないでしょうか。いろんな方面の曲や活動をされているので、それを概観してみましょう。



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The Memories of Frank Nagai Complete Singles / フランク永井


画像はA面シングル全集(10CD+1DVD)から。


■ フランク永井の多彩な音楽性

01|「有楽町で逢いましょう」に始まるヒット曲

 吉田正の曲を中心とする一連の歌謡ヒット曲は、フランク永井の歌手生活30年にわたって続いています。「ムード歌謡」とも言われますし、ジャンルそのものの象徴たる存在でもありますが、フランクはあくまでフランク、洋風で端正で、他の歌手とはずいぶん違う独自の個性があります。
➔ フランク永井を知るために・01|『懐かしのフランク永井 シングル全集(1)有楽町で逢いましょう 1956-1958』


02|「シティ・ポップ」路線

 近年、1970〜80年代の日本の音楽が、「シティ・ポップ」として再評価されています。アルバム『マホガニーのカウンター』では……

フランク永井が元来もっていた洋楽志向が、今で言う「シティ・ポップ」に結実しています。その源流は、70年代の作品(『いのち短し恋せよ少女』[1974]など)にも見出されます。

➔ フランク永井を知るために・02|シティ・ポップの傑作アルバム『マホガニーのカウンター』(1983)


03|ジャズ・スタンダード

 これもフランクが歌手生活を通して歌い続けてきたものです。デビュー曲「恋人よわれに帰れ」に始まり、80年代のアルバム『オール・オブ・ミー』(1981)、『Answer Me My Love』(1984)など、数多くの曲があり、演奏も豪華です。得意の英語で、アメリカ往年の大歌手のようでありながら、やっぱり優しく、懐かしい声です。

➔ フランク永井を知るために・03|『フランク、ジャズを歌う』 ジャズ・シンガーとしてのフランク永井


04|ライブ・リサイタル

 フランク永井のライブには定評があります。レコードの端正な歌を超えた、遊び心や激情が加わります。それだけでなく、おしゃべりや演出も上手です。MCで聴衆を楽しませ、酔わせるのも自由自在。そんな様子が当時の録音から伝わってきます。

➔ フランク永井を知るために・04|ライブ盤『Frank Nagai at BELAMI』(1972)京都ベラミの実況録音


05|歌謡曲・演歌のカバー・その他

 カバー曲も多数あります。ヒット曲「君恋し」自体も、昭和初期の歌謡曲をモダンなアレンジで蘇らせたものでした。60・70・80年代のおなじみの歌謡曲も、フランクと出会うと新しく、優しく、そしてちょっと洋風になります。「あなたのすべてを」も、ディスコグラフィーの最後を飾るカバー曲です。

 その他、「東京ナイトクラブ」(1959)から長年にわたる松尾和子とのデュエットや、童謡にも取り組んでいます。「こいさんのラブ・コール」(1958)に始まる「大阪もの」にもヒット曲が数々あります。『西銀座駅前』(1958)をはじめとする出演映画では、シーンに合わせて歌い直したものもあり、ビデオクリップのように楽しめます。70年代以降はご自身の曲にも演歌的アプローチがありますし、民謡、軍歌(反戦歌もあります)、落語にもチャレンジするなど、幅広い活動があります。

➔ フランク永井を知るために・05|歌謡曲のカバー etc.


■ フランク永井をもっと知るために

06|「フランク永井あれこれ」

 フランク永井に関する情報がもっとも集約されているのが、文四郎(矢萩光也)さんのサイト「フランク永井あれこれ」です。フランク永井の初期からずっと追いかけてこられた情熱には、本当に頭が下がります。ファンにとってのバイブルと言えるでしょう。

➔ フランク永井を知るために・06|ブログ「フランク永井あれこれ」紹介


07|フランク永井歌コンクール

 フランク永井の現在が、ここにあります。故郷、松山町で開かれている「フランク永井歌コンクール」です。フランクと近い世代の方々から、二十歳すぎの若者まで、100組近い参加者が歌い継いでいます。現代に生きるフランク永井を感じることができるのが、このコンクールです。

➔ フランク永井を知るために・07|「フランク永井歌コンクール」 フランク永井の現在


08|多様な媒体…配信、CD・DVD、レコード etc.

 これからフランク永井に触れる人は、まずは配信から始めることが多いと思います。どの媒体をどう活用するか…… 初心者ながら、私なりに分かったところをまとめています。

 この多彩な音楽性を軽くつかめるSpotifyプレイリストを作ってみました。

01 東京午前三時|「有楽町」より前ですが、一連のヒット曲の原型です。
02 愛の影|スラップ・ベースの効いたシティ・ポップ曲。
03 夜のストレンジャー|フランク・シナトラのカバー。
04 枯葉|ライブ曲の数少ない配信。MCでは音楽的ルーツに触れています。
05 ウナ・セラ・ディ東京|カバー集『恋心』から。
06 東京ナイト・クラブ|松尾和子とのデュエット。ライブの定番です。
07 こいさんのラブ・コール|フランク「大阪もの」の原点。
08 西銀座駅前|今村昌平監督で映画化され、フランクも随所に出演しています。

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